画像はMAX150km以上のストレートを投げている日本人メジャーリーガー、プロ野球ピッチャーの握り方です!身体全体から、生み出してきた力を、指先からしっかりとボールに伝えられているボールの握り方です。
画像に握り方を見比べてみてどのように感じましたか?
各投手、体格も違い手指の大きさも同じ選手はいないでしょう。
しかし、ボールの握り方に共通点がありますが
お気づきでしょうか?
【 目次 】
重要なのは「親指」の位置
キャッチボールの基本となるストレートの握りは「人差し指と中指の第一関節とボールの縫い目」の関係性が重要になることは、多くの野球指導書などにも記載されているところです。
2本の指の第一関節の使い方が中心となり、ボールの縫い目を利用することで無駄なく指先からボールに力が伝わるということは異論はありません。
リリース時、ボールが指から離れていく順番は必ず「親指」が離れた後に「中指」か「人差し指」が離れます。(中指か人差し指かは個人差があります。)
このようなことからも、「人差し指」「中指」に意識が強くなりがちで、実際に現場でも「人差し指」と「中指」の位置を気にしている選手は多いと感じますが、それを支えている「親指」も同じくらい重要であることを忘れてはいけません。
正解は「親指の接地している場所」になります。「人差し指」と「中指」の開き加減などに個人差は見られますが、「親指」の関節位置は必ず「人差し指」と「中指」の間の裏側に位置しています。
正確な親指の位置でボールを握る
ボールを握るときに「親指の位置」を中心位置から外側に接地してしまうと、投球・送球時に「手首」「肘関節」「肩関節」に悪影響を及ぼします。
*詳細は別記事でご確認ください
【効果倍増】キャッチボールの意識が「手首」「肘関節」の知識
https://backstage-baseball.com/riri-su_tekubi_yakyuhiji/実は「小学生の悪い握り方」でも大半の割合を占めるのが「親指」の位置が正確なところに接地されていないことです…
ボールをしっかり握ることは、技術面のメリットが多くありますが、腕に負担をかけずにボールをしっかり投げる、怪我のリスクを減らすことにも繋がります。
メジャーリーガーや、一流のプロ野球投手のようなパフォーマンスを真似することは難しいですが、ボールの握り方を真似することは難しくありません。
ボールの握りで重要になる「親指の位置でボールを握る」ことは少年野球の子どもたちでも必ず真似をすることができます。
3本指でボールを握る
ボールの正確な握り方を知らない子ども、握れない子どもたちが多いようですが、「手の平が小さい」「指が短い」という理由が大半を占めるようです。大人のような手の大きさになることありませんので、本当に同じようにボールの握り方はまだできませんが、「親指の位置」だけならシンプルに真似をすることが可能で簡単です。
そして、「親指の位置」を安定させる、ボールの握り方は「3本指でボールを握る」ことです。
ボールが大きいソフトボールでは自然に3本指になるのですが、少年野球には意外に浸透していないようです。
画像のように3本指でボールを握ることができれば、無理をせず、親指を正確な位置でボールに接地しやすくります。
「指」の役割を理解する
手指の動作は
・触る(感じる)
・つまむ
・握る
・弾く
・はさむ
・押す
・叩く
・引っかける
など細かい動作をたくさんすることができます。
例えば、握る・つまむ・弾くという手の動作は野球の「投球・送球」にも大きな役割を担っています。
それぞれの基本的な手の役割を簡易にでも理解しておくことで、ボールの握り方への理解も深まります。
次から説明させていただく手や指の「役割」や「特徴」を理解しておくことで、ボールの握り方を指導するときの自信にもなり、選手や保護者にも納得してもらえる説明ができるようになります。
親指
指の中でも、特に重要な役割をしているのが「親指」になります。親指が無いとモノを上手く掴むことができなくなります。
親指を動かす筋肉が弱ったりするとモノをつかみにくくなります。
当然、ボールを握る動作も同じことが言えます。
指の中で一番太いので、不器用に感じるところですが、器用に動きます。
他の指にはできない親指独特の動きをすることができます。
この手のひら側に動かすことができる動作は正確にボールを握るときにも大事な動きになり「拇指の対立」(ぼしのたいりつ)と言います。
人差し指
親指以外の4本のなかで最も精度が高く器用に動く指が人差し指です。
日常生活では使用頻度が高く、細かい動きが必要になときは必ず動かす指になります。
「同じフォームで投げよう」とよく言われますが、「まったく同じフォームで投げる」ことは、厳密に言うと一流のプロ野球投手でも不可能です。
同じ球質のボールが同じコースに同じスピードで投げることができても、リリースポイントに必ず誤差が出るからです。
ボールをリリースする瞬間「指先で微調整をしてボールをコントロール」していることが分かっています。
手の大きさ、指の長さなどに個人差はありますが、リリースの最後にボールをコントロールするとき「人差し指」は重要な役割を担っています。
中指
精度が高く器用さでは人差し指に劣ります。
しかし、最も長く出力の強さも一番なのが「中指」です。
指で物を押さえつけるような力が必要になると、人差し指から中指をよく使うようになります。
ボールをリリースするときも同じく中指の出力をうまく利用することが大切です。
手が小さい子どもでも、三本指の握りをさせると簡単に「中指」と「親指」がしっかり対立させることができます。ボールの握りがよくない少年野球のこどもたちとキャッチボールをすると、スライド回転の傾向が多いと感じているのは、上記ような要因もあることが考えられます。
薬指
最も不器用な指となり、出力も高くありません。
推奨した、「三本指の握り」でボール投げるときは、安定させる為の補助的な役割と考えてください。
子どもが成長して、手指が大きくなり、しっかりとボールが握れるようになれば、通常の「2本指の握り」に変えても特に違和感もなくボールを投げることができます。
神経質にならなくても問題ありません。
小指
一番小さな指になりますが、薬指よりも器用になります。
ボールを握るときも、意識されにくいところですが、一番遠くにある親指を近づけることによって「拇指の対立」(ぼしのたいりつ)動作の大きな助けとなります。力の入れ加減や、位置などを確認し各自調整してみると、ボールが握りやすくなり投球・送球がよくなることもあります。
軟球を握るときの注意点
少年野球では軟式ボールが使われます。
硬球と軟式の大きな違いの一つに「ゴム素材」があげられます。
特に現在(2021年)使われているJ球、M球は「ディンプル部分がハート型」になっていることで、縫い目以外の部分でも指に引っ掛かかりやすくなっています。縫い目を掛ける「人差し指」「中指」も大事ですが、そこに意識が行き過ぎることで、「親指」の位置の意識が疎かになっているような場合は、この現代の軟球のディンプル部分の「縫い目ではなくてもボールに指が掛かかる」特性を活かしてボールを握らせてみても良いのではないでしょうか?
「ボールを握る」練習を
ボールを正しく握ることのメリット
これまでお伝えした「親指を正確な位置に接地」してボール握ることは「投球・送球の改善」に特に大きな成果をもたらしてくれます。
また年齢やレベルに関係なく誰でも取り組んで改善することが出来ます。まずはボールを投げる前に
「ボールを正しく握る時間」をつくり、「ボールを正しく握る練習」をしてほしいと思います。
最初は違和感がある人も多いと思いますが、1日5分だけでも継続すると慣れるのにそこまで時間はかかりません。
まずはキャッチボールのときに無意識で出来るようになるまで、継続して取り組んでほしいと思います。
「握るという動作」は「バッティング」でも重要となり、グリップの握り方が少し違うだけでパフォーマンスが変わります。
野球以外のスポーツ、「ゴルフ」や「テニス」などでも非常に重要だと言われています。
まとめ
「ボールの握り方がよくなかった選手は」ボールの握り方を改善するだけで「投球・送球」を改善させることができる可能性が高くなります。
投球・送球フォームの改善がうまくいっても、「ボールの握り方」が良くなければ、スピードやキレのあるストレートに繋がりにくいですし、コントロールの精度をあげることも難しくなります。
握り方を改善し安定させることで、少年野球の子どもでも、投げるボールの質が劇的に変化する選手もいます。
身近に悩んでいる選手がおられたりしましたら、是非この機会にお試しください。
各解剖図
出典:ヒューマン・アナトミー・アトラス2021