低身長の不利な部分を選手はどうやって埋めていくのか?

「身長が高い選手が有利」であることは前回の記事で理解していただけたと思います。
【低身長必見】2021ドラフト指名選手,現役プロ野球選手のデータから意識を変えて最強の自主練メニューを作る-前編-低身長の投手にとってその不利な部分を埋めることはマウンド上で活躍するための必須条件になります。

そのアドバンテージの埋める方法の1つとして自分自身で考えてレベルアップに繋がるように「低身長の選手はより」意識して自主練習に取り組くむことが重要になります。

自主練習での取り組み次第で大きく成果は変わります。
少しでも効率よく「成果」を出せるように「工夫」することがポイントになります。

自主練習に取り組む前に
まず目的や意識して取り組むことができるように、知識を持ってメニューを作ることは、継続していくためにも欠かせないことです。

低身長プロ野球投手の共通点

「自主練習のメニュー」づくりに同じ体格やタイプの選手を参考にすることはオススメです。

相性はありますが、共感できたり、参考にできる部分は非常に多いと言えます。

この記事では「低身長のプロ野球投手」
・ヤクルトスワローズの石川雅規投手(身長167cm)
・元阪急ブレーブスの山口高志投手(身長169cm)
2人の投手をピックアップしました。

石川投手はまだ現役で活躍しているので説明は割愛させていただきます!

山口投手は全盛期のストレートの球速が160kmは出ていたと言われている投手です!
当時対戦していたプロのバッターが口を揃えて「狙っていても打てない」と言われていたようです。

また引退後はコーチとしても活躍されており、元阪神タイガース藤川球児投手の覚醒にも大きな影響を与えたと言われています。

時代、利き手、投球スタイル(石川投手:技巧派 山口投手:速球派)は違うので、低身長以外は真逆のイメージが多くなりそうなところですが、書籍を中心に情報を集めると共通点はいくつかありました。練習でトレーニングをたくさん積まれていたことが書かれていますが、その中でも「走る」トレーニングはものすごい量を2人ともこなされていました。

驚きのエピソードが、大学時代の冬合宿で毎日トータル20km以上は走っていたいたことです!

石川投手は全身筋肉痛で朝起きれない、靴下が履けなかった。
山口投手は合宿中に生まれてはじめて血尿が出るという令和では問題となりそうな衝撃のエピソードが残されています。

長距離だけでなく、中距離や短距離のランニングメニューもたくさんこなされていたようです。

大学以前の中学時代、高校時代も陸上部のようにとにかくよく走っていたことを知ることができましたが、そのお2人でさえ身体が悲鳴を上げた大学時代のトレーニングは想像を絶するものだったと思います…

ランニングの成果が「球速アップ」や「ボールのキレ」に繋がったこと。
プロ野球で通用する投球の支えにもなっていたことはお、2人の書籍のなかでも度々確認することができました。

野球部の定番「ランニングメニュー」

もうお分かりだとは思いますが
今回ご紹介する自主練習メニューは「ランニングメニュー」です。素直にプロ野球で活躍した「成功者」から「真似をする」ことは「成功するため」の道を大きく踏み外さないことでもあります。

そして、ランニングメニューは日本の野球界ではまだ「定番のトレーニングメニュー」です。

特に中学・高校のチームや野球部では、ランニングメニューが課せられる機会は多くあります。
強豪校になるとランニングの強度は高くなり、量も多い印象があります。

そのランニング量割にはランニングに対する知識が乏しい選手が多いのではないでしょうか?

そんな「ランニング」について、理解を深めて自主練習に取り入れていくことにより
・目的意識を高く持って自主練ができる
・工夫して継続することができるようになる
・チーム練習で課せられるランメニューを能動的にこなせる
・基礎体力が確実にアップする
などの効果が主に期待できます。

中学生が自主練でするべき「ランメニュー」

中学生くらいから野球に対する意識も高くなり、自分で自主練習のメニューを立て取り組んでいく選手は多いと思われます。

そして、中学生の時期に必ず取り入れてほしいのが、石川投手、山口投手も取り組んでいた「中・長距離のランニングメニュー」です。
12歳〜15歳くらいまでのゾーンで示されている通り「呼吸・循環系」の能力が大幅に発達しやすい時期になります。

最大酸素摂取量(VO2max)を向上しやすく、タイムも非常に伸ばしやすいのでモチベーションアップの効果も期待できます。

最大酸素摂取量とは?
「1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量」をいいます。
酸素は体内で化学的なエネルギーを作るときに使われますが、その消費量が多いほどたくさんのエネルギーが作り出されます。エネルギーの生産量が多いほど身体を長く動かすことができます。

この時期を過ぎると同じランニングメニューをこなしても、同じような効果を獲得することはできなくなるようです。

「呼吸・循環系」が強くなることで、投手にとって重要な要素「体力の回復力」が高くなります。
個人差はありますが、回復が早いことにより、トレーニングを辛く感じる段階も変わります。

また短距離走でもこなす本数、量が多くなると回復力がトレーニングの良し悪しに影響してきます。

高校生以降になると「呼吸・循環系」の発達も落ち着きますが、ゆるやかにでも機能を上昇させていくために年齢を重ねても継続してこなしていくことが大切です。

「心肺機能を強化」するランニングまとめ

ランニングメニューは特別な道具、パートナーなども特に必要なく自分のタイミングで行うことができます。

オススメの「心肺機能を強化できる」ランニングを紹介させていただきます。

意識して取りくむことで「取り組む姿勢」や「効果」に必ず差が出ます。
心拍数も表記していますが、ハートレートモニターや計測ウォッチがあれば計測可能になります。
お持ちの方は計測しながらのランニングをオススメします。

ペース走

<ペース走とは?>
ペース走は長い距離を一定の速度で時間内に走るトレーニング方法です。

練習を何回か繰り返すと「ペース配分」を身につけることができます。

保護者の方が自主練習に付き合うことが可能であれば、タイムの誤差を一定の距離で伝えることで、時間感覚やペース配分をレベルアップを効率的にすることが可能です。

ペース走は骨や筋肉への過度な負担が少なく小学生にもオススメです。

<自主練メニュー例>
小学生6000mくらい、中学生8000mくらいの走行距離が目安になります。
全力の80%で100mくらいから同じペース配分で走り続けて、ペース配分や持久力が上がると徐々に距離を伸ばしていきます。

石川投手:中学時代
毎日6kmか10kmを走っていました。


<心拍数の目安>

160~170回/分を維持するペース

<回数or頻度>
週2,3回

<効果>
・ペース配分感覚のUP
・持久力UP
・スピードの維持

*全トレーニング紹介後に、ペース走の効果効率を更にアップさせるための「LT値」について記載しています!

インターバルトレーニング

インターバルトレーニングとは?
スタート時から一定の距離をスローペースで走ったあとに、全力で一定の距離を走るトレーニングを数セット繰り返すトレーニングです。

はじめは特に距離や強度を定めずに、緩急をつけた走りでも効果は期待できます。
慣れてきたら必ず距離を伸ばしていき、目標タイムを設定してください。

また、インターバルトレーニングは乳酸の除去能力を効果的に鍛えることが出来るランニングメニューになります。

乳酸を除去する量が、乳酸が産生する量を下回ると、ペースダウンに繋がります。
野球のピッチングにおいても同じことが言える部分があります。

インターバル走で乳酸を除去する能力を向上させることで、普段よりも速いペースで走ることが出来たり、同じペースでもペースが落ちてしまうのを遅らせることが出来ます。

最大酸素摂取量(VO2max)を向上させるのにもインターバル走が効果的です。

<自主練メニュー例>
100mをジョグして200mを全力走中学、高校で体力測定がある1500m走の効果を上げる練習法としては、インターバル走の中では比較的長い距離に該当する400mインターバル300mインターバルが効果があるようです。

石川投手:青山学院時代
毎日30本〜40本の200mインターバル走(1本のタイム30秒以内などの設定あり)

<心拍数の目安>
ジョギングは120~130回/分
加速時は170~190回/分

<回数or頻度>
週2で中学生5本、小学生なら10本が目安

<効果>
・スピードUP
・持久力UP

ビルドアップ走

ビルトアップ走とは?
ペース走でのラニングペースを基準にスタート時はゆっくりと走り出して徐々にスピードをあげていきます。
中盤までに通常のペース走のペースまでスピードをあげていきます。

最後はペース走よりも速いペースで走り切ることで、タイムを縮めることが目的になります。

ペース変化も激しくペース走よりも強度が高くなります。
中学生から始めることをオススメします。

<自主練メニュー例>
まずは6000mのタイムを計測
そのタイムを参考に1000mごとに5秒ずつタイムが縮まるペースで

<心拍数の目安>
スタート時は心拍数150回/分
ペース配分を考え徐々にスピードアップし最終的に180回/分に到達させる

<回数or頻度>
週1~2回が目安

<効果>
・持久力UP
・スピードUP
・心肺機能UP

ジョギング

ジョギングとは?
「同じ走る運動」ですがジョグとランは走る速度や目的により使い分けられています。

ジョギングはランニングよりもスローペースで走る運動とされています。
ランニングは本格的なトレーニングでジョギングは健康志向などが強くなります。

ランニングは、マラソン大会などの競技への出場を目的としているため、アスリートなども行う本格的なトレーニングになります。

ジョグは長い時間走り続けるだけのスタミナのある脚力・心肺機能を鍛える。毛細血管を発達させ血流をよくします。

<自主練メニュー例>
練習・トレーニング前のアップでは15分程度のジョグ
心肺機能の向上は40~50分程度のジョグ

石川投手:現役中
毎朝5km〜10kmのジョギング


<心拍数の目安>
ジョギングは120~130回/分
*1分あたりの心拍数は、最大心拍数(※)の65~80%が理想とされて、呼吸も速めです。

<回数or頻度>
週1~2回が目安

<効果>
・持久力UP
・疲労回復

効果効率をUPする「LT値の意識」

ランニングは多くの選手が嫌いな定番のトレーニングメニューですが、同じ「辛いこと」「嫌いなこと」をどうせやるなら「効果を少しでも獲得」できるようにしないと非常に勿体ないものです。

ペース走はLT値意識することでランニング効果を効率よく上げることができます。

自分自身の「正しいペース感覚」を掴むことはランニングの基本です。
正しいペースを掴んで、ランニングのレベルアップに最適なトレーニングがLT値を意識したペース走になります。

例えば、「このくらいのペースで走ると、だいたいこのくらいの距離を走れて3分くらいかかるな」というような自分のランニングペースを掴んでいけると、無駄な走りをすることもなく、力みのない安定したフォームにもつながります。

身体の使い方がうまくなるということは、例えば同じ体力だとしても長い距離を走ることができる可能性は高くなります。
同じ距離で競ってもスピードを的確に上げることができるので早くゴールできる可能性が高くなります。

LT値とは?「Lactate Threshold(乳酸性閾値)」
ランニング中にある一定のペースまでは楽に感じますが、一定のペースを超えた運動強度になるとペースを維持することも距離を伸ばすこともできなくなります。

この原因は血中の乳酸濃度が急激に高まり、乳酸が溜め込まれると疲労を感じやすくなるからです。
この乳酸が発生するポイントをLT値といいます。このLT値はランニングが速い選手ほど優れています。
LT値が訪れるポイントが遅いと、より速く走ることが出来るようになります。

乳酸そのものが疲労の根源ではなく、疲労度合いは乳酸を分解処理する能力で左右されるということです。

LT値を高めるためには、乳酸が急上昇するLT値付近でのペース走で走ることが有効です。

LT値付近のペースで走るトレーニングを積むことによって、LT値のポイントが徐々に高まります。
同じペースでも楽に走れるようになります。

LT値付近のペースは心拍数で見ると
最大心拍数の「80-85%」のゾーンになります。

最大心拍数とは?
心拍がもうこれ以上あがらないといった心拍数が最大心拍数です。
年齢なども影響してくるなど個人差がかなりあります。

ハートレートモニターを用意して1度は必ず測定ほしいと思いますが、一般的な公式があります。
最大心拍数 = 206.9 ― (0.67×年齢)

お伝えした通り個人差がありますので、この公式はあくまでも目安になります。
自分の最大心拍数を把握することで、ランニングの効果を感じやすくなります。

自分の感覚では行う場合は「ペースを上げる余裕があるペース」で走ることです。
心拍計付きの時計がある場合は確認しながらランニングすることをオススメします。

LT値を強化することでより速いペースで、より長い距離が効率的に走れる
ようになります。

YS石川雅規から学ぶ継続のコツ

長距離走、中距離走、短距離走。すべてのランニングには意味があります。

その意味をしっかり踏まえたうえで、走ることが大事になってきます。高校時代のランニングに関しては投手陣が、”ああでもない、こうでもない”と自分たちで考えて作っていました。


そのため、飽きずに走ることができました。つらい練習をやるうえで「飽きない」というのは重要なポイントだと思いまし。
そして、飽きないということは、継続的な練習ができることを意味しています。


著者:石川雅規「頭で投げる」P34抜粋
発行元:ベースボール・マガジン社

ヤクルトの石川投手は著書の中でも「色々なランニングメニューを取り入れていくことは飽きないよう、継続していくためにも大切なこと」だと言われています。

また自身の性格を分析しているのですが、夏休みの宿題はコツコツやるのではなく、まとめて終わらせるなど鋼の意志をもった人間ではないと言われています。

紹介した代表的なランニングメニューを読んだだけでも、思わず「野球部は陸上部ではないから」と口にしてしまいそうになりますが。

少しでも知識を積極的に増やしていくことで、苦手意識があるランニングに対して「工夫するキッカケ」や「能動的に取り組むキッカケ」をつくることができます。

陸上部ではないので当然なのかも知れませんが、同じランニングメニューをこなしても知識や積極性が高いと効果も獲得しやすくなります。

ただ漠然と自主練にランメニューを取り入れるだけでは継続することが難しく、チームのランメニューでは惰性になる可能性は高くなります。

アメリカにランニングは無い?

アメリカではバスケットボール&野球などのように複数のスポーツを真剣に取り組むことが通常の文化です。
野球部で陸上部のようにランニングをする文化はないようですが、他の競技をすることで「ランニングによって」向上する部分が補われていることは確かです。

マルチアスリートで有名なボー・ジャクソンはじめ、野球のトップリーグ「メジャーリーグ」アメフトのトップリーグ「ナショナルフットボール」この両方の公式試合に出場した選手は何と60名を超えています。
強豪チームや練習が毎日のようにあるチームは難しく練習量も多ければ、ランニングなどのトレーニングメニューも多いので難しいところもありますが、チーム事情や時間が許すのであれば他のスポーツに積極的に参加することも方法の1つです。

陸上部の顧問や友達に専門的な知識を教えてもらうだけでもすごく為になることもたくさんあるはずです。

最後に

基本的なランニングメニューをお伝えさせていただきました。
お伝えしたメニューの距離や本数などは目安になります、各自工夫して取り組んでほしいと思います。

そして今回の記事をキッカケにランニングの知識を高めて、特に低身長の選手には、自分に合った結果に繋がる「オリジナルのランニングメニュー」を必ずつくっていただきたいです。

大事なのは積み重ね
「石川はあの小さい体で、どうしてあんなに長くプロでやれているんだろう」
そう思う方は少なくないと思います。正直、僕は特別なことはしていません。

その代わり、「できないことをするのではなく、できることをきちんとしよう」と意識してきました。
たとえば1日に10キロは走れなくても500メールは走れるなら、それを毎日続けてみる。その積み重ねが力になり、いつかは毎日10キロ走れる自分になれると思うのです。
発行元:ベースボール・マガジン社 著者:石川雅規「石川雅規のピッチングバイブル」P16抜粋

石川投手や山口投手と同じようなランニング量をこなすこと、ピッチングをすることは難しいことですが、低身長でもプロ野球界でも結果を残されている投手に、ランニング以外でも何らかの形で少しでも近づくことで、ピッチングのレベルも確実にアップできます。

ライバルとの差も大きく開けることができるはずです。

石川投手、山口投手の書籍もこの機会に是非ご覧になってほしいと思います。
お二人のことをより詳しく知ることでモチベーションアップに確実に繋がります。

これから迎える冬の自主練習はじめ、チーム練習に少しでもお役立ちできれば嬉しいです。